これまでの道のり
WASOは、元々東京の金融機関で働いていた私吉村俊宏が、日本の文化を使った事業をグローバルに展開したいという想いから、26歳の時にロンドンで創業を決意しました。2014年4月にワーキングホリデービザでロンドンに渡り、同年9月に起業家ビザに更新。2015年3月に中学の同級生と共にWASOをローンチします。創業当初は、ロンドンのオフィスに向けて「ミニマムオーダーなし、配送料無料、時間指定可能」でランチを配送する事業に挑戦していました。
最初の3カ月は、朝6時にキッチンに行き自ら唐揚げ等を調理、お昼に写真のような手押しのトロリーを押して配達する日々。倉庫を借りる余裕もなく、狭い自宅にところせましと資材を置いていました。ベッド1つと机と椅子を置くとドアが閉められない狭い部屋に住んでいたこともあります。事業開始して半年ほどでOld Streetの倉庫に移ったものの、オフィスを借りる余裕はなく、カフェで一番安い水を買って仕事をしていました。毎朝Bank駅等で自らリーフレットを配り少しずつ事業が成長する中、メルカリ創業者の山田さんが訪ねて来てくれたことも励みになりました。
創業後の苦難
2018年にはテレビ東京の日経スペシャルジパングで特集され、日本政府関連施設のJapan Houseとの契約も勝ち取りました。しかし、そもそもの事業の収益構造が悪く、資金繰りが苦しくなります。断腸の思いで殆どの社員に退職を告げ、2019年10月26日をもっていったん事業を閉じる決断をします。
ただキッチンと自宅の家賃は引き続き払わなければならず、翌週から週2-3回ほど1人のスタッフとともに運営しつつ、今後の進退を検討することにしました。自らおかずを作り、2人だけでパッキングし、自分1人でトロリーを使いシティへ配送していました。広大なシティを自分1人で配送するのは時間的にきつく、ずっとトロリーと一緒に全力で走って配送していました。
第二の創業
一度は事業を閉じる決断をしましたが、やはり世界で事業を展開したい最初の想いを諦めきれず、もう一度自分を信じて0から頑張ることを決めました。2019年12月から事業モデルを改善、本格的に再出発した最中、2020年3月にコロナが発生します。オフィス向けに事業をしていたWASOにとっては最大の危機でありましたが、ロックダウン開始4日前に冷凍弁当のホームデリバリーサービスに転換、注文が一気に増え何とか間一髪で切り抜けました。当時、会社には数千ポンド、個人には資金がなく、もしも1週間でも転換が遅れていれば、オフィス事業からの売上がほぼ0となり、今この世界にWASOはなかったはずです。
当初はセントラルロンドンのみの配送で、各ポストコードにつき週1回の配送だけでしたが、地道にサービスの改善を続けUK全土に毎日配送できるようになりました。商品も、お野菜や薄切り肉、お刺身等、ありとあらゆるジャンルをカバーすべく日々追加されております。そして、冷凍も無料配送、最短当日配送、ご不在時は全額盗難保証の置き配等、業界では唯一無二の圧倒的なサービスでお届けできるようになりました。
WASOのこれから
WASOはまだ完璧なサービスではありません。サイトの使いづらさや売切れの多さなど、改善すべき点は多くあります。それでも、私たちには信じていることがあります。これまで食べられなかった母国の味を、世界中どこでも楽しめる世の中を創ることができると。これまで食べられなかった日本の味で、辛い時にあと一歩頑張ろう、そう思ってもらえると。これまで食べられなかった日本の味で、食卓を幸せで満たせると。テクノロジーを活用し、ありとあらゆる日本と変わらない味を手の届きやすい価格で提供することを目指しています。製造技術を取得しながら、乳児・子供向け商品や和菓子、惣菜パンなど、さまざまな商品も今後お届けする計画です。
最後に、これまで支えてくださった方々に心から感謝しています。皆さまに助けられここまでなんとか来ることができました。これからは、世界中でさまざまな理由で異国に住む皆さまに恩返しをする番だと考えています。WASOを通じて、辛い時や頑張りたい時にも元気をくれ、食卓が笑顔になる味を、今後もお届けしたいと思います。
Founder & CEO 吉村 俊宏